様は30才でK市の生まれですが、随分前に奥様を亡くされ県南のA町でひとり暮らしをされていた63才になるご主人と知り合って嫁がれており、間には当時1才のお嬢様がおられました。
ご主人はA町で貸家業をされておりご家族3人裕福に暮らしておられたのですが、突然の持病の悪化で急死されてしまいました。
そこで、どうしていいか分からなくなったS様からご相談をお受けしました。
「主人は持病を抱えていた所為でしょう、遺言書が残されており全財産を私に譲ると書かれてありました。しかし、私は相続を放棄してK市の実家へ帰ろうと思っています。放棄してしまうと今の主人の家とかアパートとか主人の借入とかどうなりますか?」
『ちょっと待ってください。ご自宅やアパートがあり、亡くなったご主人も遺言で全部譲るとおっしゃっているんでしょう?どうして放棄されるんですか?お子さんもまだ小さいのに・・・・。』
「実は主人は長男だったので家には先祖代々の仏壇がありお墓もあります。それだけならいいんですが、主人の兄妹は近くに住んでいて口うるさいんです。自分は後妻だったこともあって何かにつけ白い眼でみられてきました。これからの親戚付き合いを考えるととっても気が重くて・・・・。」
『とにかく私たちが状況を調査しますので、ご決断はその後にされませんか?』
S様はやはり小さい子を抱えて生活することには一抹の不安があったのでしょう。
私たちの提案に対し、金融機関との話し合いなどの手続きのいくつかを私たちが代理人として引き受けることを条件に同意されました。
現在S様はアパート収入などをもとに介護事業を始められ娘さんと元気に暮らしていらっしゃいます。
奥様のご不安は冷静になればすぐに取り除けるものばかりでしたので当方の提案を自信をもってお薦めしました。それにしても結局、亡くなられたご主人が事前に遺言書を作成しておられたのが決め手となり、スムーズに手続きを進めることができました。それがなければ行方不明のTさんの存在がある以上、簡単にはいかなかったでしょう。