市の東部に住まわれるN様、長く入院されていたお母様が亡くなられ相続が開始しました。相続財産は概ね5億円でしたので納税額は凡そ1億7千万円です。しかし、相続した現預金は5千万円でしたので残りは申告期限までに不動産を売却して資金作りすることになりました。住宅分譲に適した2物件を各々8千万円と5千万円で売却することに決め売却に取り掛かったのです。
売却にあたっての調査で判ったことですが、東側の住宅と売却不動産の間を南北に通る長さ60m幅4mの道路が、実は幅2mづつの東西2筆に分
かれていて、その東側についてはお母様の道路持分がありませんでした。
物件は住環境もよくすぐに希望価格での買い手が現れましたが、この道路問題が解決出来たらが条件となりました。
東側の住宅地、道路の成り立ちを調査しました。
すると、当時の所有者だったHさんが住宅分譲するにあたりHさんとNさんのお母様がそれぞれの敷地から2mづつ出し合って4mの道路を作った様子が見えてきました。
その際、お母様は西側道路の持分2分の1をHさんに譲渡、その後持分名義はHさんの土地を買って住宅を建てた4名の名義へとなっています。
しかし、東側道路部分には本来お母様名義へとなるはずのHさんの持分が変更されずHさん名義のままで今日に至っていました。東側住宅地は既に全部売却されHさんの土地はなくなったにもかかわらず。
それは当時移転するつもりで残していた持分が何らかのミスでお母様名義への移転登記がされないままになってしまったことを物語っていました。
この道路持分が解決しないと予定価格での売却ができないと伝えると、Nさんから当センターへ道路問題の解決を依頼されました。
一つ確認。
さて、それではこのHさんはまだご存命なのか?
近くに同じ姓の方の家がありましたので、何かご存知かもと思い飛び込んでみました。
その方は問題のHさんの弟さん、但しHさんはもう随分前に亡くなりましたとのことでした。
その弟さんに状況をお話しすると事情は分かられました。
以前からNさんもNさんのお母様もよくご存知だとのこと。それからは弟さんにお願いしHさんの相続人さんに集まって頂き1ヶ月ほど掛かりましたが無事道路持分を取得し売却することができ、Nさんのご要望にお応えできました。
無道路地は世の中に結構存在いたします。せっかくの住宅用地も道路が無くては家も建てることが出来ず、処分することもままなりません。今回は、お母様がご近所と生前親しくされていたことで、協力が得られスムーズな解決が出来ました。安堵しています。