男さんは73歳。先日面倒を見てきた甥子さんを不慮の事故で亡くしました。その甥子さんは、ご両親を早くに亡くされていた為、N男さんが父親代わりに面倒を見てきた訳ですが、妻子もおらず、天涯孤独です。
一体誰が彼の財産を相続できるのでしょうか?
との、ご相談がありました。
甥子さんは、代々受け継いだ不動産等合わせて3億円もの資産を所有されておりました。
ご心配のとおりこのままですと、相続人がいない、相続人の不存在ということで遺産は国庫に帰属することになってしまいます。
当センターとしても相続の相談を受ける中で珍しいケースでしたので、当センターの税理士・司法書士・顧問弁護士に伺い、特別縁故者として相続財産を引き継ぐ申し立てをすることをN男さんに提案しました。
甥子さんは、小さい頃にお父様を亡くされたこともあり、N男さんが父親代わりとして面倒を見てこられました。甥子さんにとってもその存在は大きく、N男さんのお人柄からも充分に遺産を受け継ぐ資格がお在りになるのではと判断したのです。
私たちはN男さんが甥子さんの特別縁故者として認定されるよう手続きを開始しました。
先ず、家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立て、選任された弁護士が相続財産の管理清算手続きと相続人の捜索のため6ヶ月間の公告を行います。
この手続きにより相続人の不存在が確定した後、N男さんは特別縁故者として財産分与請求の申立てを行いました。
最終的にN男さんは家庭裁判所より特別縁故者として認められ、甥子さんの遺産の一部を相続することができました。
から受け継いだ財産がただ国のものになるのはどうも腑に落ちない、と思いながら諦めかけていた矢先のことでしたので、N男さんは、実際にこうして一部でも相続ができたことを大変喜ばれました。
今回のケースは、少子化や晩婚化が進む現代においては、今後増えて行くのではないかと懸念されます。
相続人がいない場合の対策として事前に養子縁組や遺言書の作成をお勧めします。